小さな会社で、社長との1回の面談で採用は即決でした。『以前に覚えたこともたくさんあるでしょうが、弊社のやり方を一から覚え直して頂きます。初心に戻って働いて下さい。』…スレた女はお嫌いですか?そう最初に言われた以上、過去の記憶は抹消してしまおうと思いました。
一体何から教わるのやら…と、ワクワクしながら出社すると、突然言われました。『ごめん!今スグそこの道をまっすぐ行くと○○法務局があるから、そこでコレ1セットとってきて。午前中に頼む!』とても忙しそうでした。新人ということで、1セットとはすなわち、土地建物の
共担付 の
謄本、
公図、
地積測量図、建物図面をここでは意味します…的なヒントになるメモは付いていました。しかし…住居表示です。記憶抹消してないから地番を調べることは出来ましたが。
1セット集めて持ち帰ると、先輩のチェックを受けました。『ちょっと!公図そのままはダメでしょう?』その会社のルールでは、公図は色塗りしなくちゃいけないのだそうです。原本が水色に着色されていた部分は、水路を表します。道みたいに通行出来ると思われないように、色分けされているとわかりやすそうですね。素直にこの会社でのルールを覚えておきましょう。
『同様に、道は全部ちゃんと赤く塗るの!』『全部の道が赤かった訳ではなかったと思いますが…』『法務局が塗り忘れた部分も、気を利かせて全部塗るの!』どうやら先輩は、『水路は絶対に青くて道路は絶対に赤い』ってルールだと勘違いされているようでした。
建築基準法上の道路 に当たらない道を、通路とか里道とか呼ぶことがあります。赤道(読み方は、あかみち、です)は道路じゃないし地番も無いのよ!って意味で着色されているのだと私は習っていました。
何が正しいとか間違っているとか、新人は言わない方が良いです。違和感がありますが、『道は全部赤い』というルールなら、それに従うことにしました。社長はこのことをご存知だったのでしょうか?あまりに多忙そうで聞く機会がなかったのですが。何も教えないうちから、『1セットとってきて』…でデビューしたであろう新人に、一から新人教育をさせるのも考えもの。不動産業界では道をおろそかにすると泣きを見ることがあります。注意して頂きたいところです。
青が好きな方には左側、赤が好きな方には右側を勧めます