搾取という言葉の意味を身を持って知った不動産屋にて。日給は安いままサービス残業するのが当たり前でした。パートに命じられた仕事を社員が手伝うなんてことは無く、まず肉体的な辛さを覚えました。定刻を過ぎてもコピーが大量に残っていて明白にいっぱいいっぱいの私に、追加で雑用を頼む営業マンもたくさん居ました。それが続いていると精神的にもこたえるようになりました。
そちらで社員全員が敵という訳ではありませんでした。ちょこっと私好みの美味しいお菓子を、コピーを取りに行ってる間に机の上に置いて下さる営業マンも居ましたし。『あっち側の速いコピー機、今なら空いてるよ。』ってこっそり教えて下さる営業マンも居ました。世界中が自分の敵になったんじゃないかと思ってしまうぐらいグッタリしている時に味方が現れた時の嬉しさったらありません。
ただ、そこでポジティブ気分が少し上がったとして、全体的に差し引くとマイナス。精神的なダメージで体もどんどん壊してきて、続けられなくなってしまいました。事務員さんからは、『パートのあなたの先輩で、たったの一日でやめたヘタレが居た。』って聞かされていたけど、私も会ったことない先輩のこと笑えません。影で励ましてくれてたマイノリティーの営業マンたち、ごめんなさい、弱い私で…。最悪な職場環境なのに行動に移すのが遅かった私の判断力がヘタレだっただけですが。
勤務最終日、何人かの営業マンは、『今までありがとう』って挨拶しに来て下さいました。それでコピー済みの書類を綴じる手が止まったこともあり?(もともとの仕事量が多過ぎたんだって!)最後の最後も1時間以上サービス残業でした。なかなか片付かなくてお手洗いにも行けてないし…やっとの思いで逃げるように会社を出ました。それから一分しないうちに、ほとんど私語をかわしたことの無かった営業マンが走って追いかけてきました。会社の外でしか言えないお話でも有るの?
彼、仕事の雑な人で、大慌てでやり直し作業させられたことが何度もありました。もう済んだことなのに、一度は謝りたいと思って下さってたのね…。ちょっと嬉しい気分になって振り返った私に一枚の紙を手渡されました。『これ!道路に面してる方のポストは間に合わないけど、地下のはあと3分だから回収してもらえるし、急いで出してきてね!じゃ、よろしく!』最後の勤務が終わったあとにもサービス残業かよ!突っ込みたくなりましたが、時間が有りません。テンション急降下したまま預かった葉書を投函し、その建物を出る最後の日に、初めて地階のお手洗いを利用して帰りました。
お手洗いオチで失礼!最後のガマンが一番キツかったんです><