記名しておいて良かった…というお話です。某所の殺伐とした不動産会社では営業マンもパートも忙しそうに過ごしています。
物件確認 のような儲からない業務は当然パートが担当。受信したFAXの仕訳をせずに貯めていると叱られるのもパートの役目。FAX付近に居座りがちですが、『立会い責任者』の押印無しに単独で送信ボタンを押すことが禁じられており、他人と目が合う度に『あのっFAX立会いをお願い…』って声を掛けたがるので嫌われます。
担当営業マンからの指示で送信する場合は、『立ち会ったことにするから先に押しとくよ。』って言われたりで、ラクです。気の弱そうな人を見つけ次第、『あっ、出かけるの待って下さい!今すぐ送信する書類を出しますのでFAXの横で立ってて下さい!』って捕まえておく等の苦労が不要になりますから。だいたい気の弱そうな営業マンは殺伐とした雰囲気が苦手なのか?極力帰社したがりませんし。忙しくなさそうに見える女性社員さんを雑用のために立たせてはいけないという暗黙のルールもございますし。なんで業務を遂行するのに『気の弱い営業マンを発見!』…みたいな反射神経を鍛えなきゃいけないのかなと思うこともございますが。
気が弱くないから殺伐としていても臆せず帰社できる系営業マンの中には、『なんで俺にハンコ押せとか言うの?俺その書類に関係ないでしょ?』って拒否する方もおられます。『あなた以外に頼める人が居ないんです。パートの定時は過ぎてますし、これ送信しないと私、家に帰れないんですよ。』って説得すると、『事務員ずっと居るじゃん!』って怒られるのですが(ごもっとも…)、『いえ、私からあの方に言動を指示することは出来ないんです。』と、抵抗します。『俺には指示出来るんだ。』…なんてことになり、FAX送信はとても面倒な業務です。
それでも義務感は有ってその機器が好きな人みたいにFAXの傍に居ると、不思議な書類が送信されてきました。担当の営業マンの机の上に速やかに移動しておかないと、放置書類が見つかったら叱られちゃう!…って思いながら内容を確認しましたが、宛名が書いてありません。送信票もありませんが、どう解釈しても不動産会社に関係ない内容。不躾ながら読み解いてみると、宣伝ではなく重要なお話をお急ぎで、届けたかったようです。コレ送った人、待ってる人、困ることになりそう…。『番号をお確かめの上…』って連絡差し上げることにしました。
送信票一枚だけで、『何時何分に頂いたFAXの件。送り先をお間違えのようです。受信した書類は破棄させて頂きました。』って書いたもので意味は通じるでしょう。それだけでこちらの用事は足りますが、送信時に気の弱いどなたかに『立ち会いました』って押印頂く以上、私が押印しないのは営業マンに失礼?大した担当でもないけど、『不動』って押印した上で気の弱い営業マンを捕まえて送っておきました。その後、『○○不動産 不動様。お蔭様で助かりました。』ってお礼のFAXが届いていたようで、私の机の上にどなたか置いて下さっていました。
やたら押印を拒否したがる社風で一瞬、『不動』って押すことをためらいましたが、コレ押してなかったら、『○○不動産 御中。お蔭様で助かりました。』…とだけ書かれていたことになり、第一発見者様を困惑させたかも知れません。送信票への押印も大切。送信時の番号確認も大切。…ってことはよくわかりました。だけど、気の弱そうな人を探して立ち会ってもらうとかいうルール無しで、一人でも押印したり正確なFAX番号を押したり出来そうな気がしております。