『
事件中 』という古い記事へのアクセスが増えていたので追加情報を書きます。特定のブログからのアクセスではなく検索エンジンからのアクセスだったので憶測に過ぎませんけど…『不動産取引当日に事件中って何が関係しているの?』って思われた方々だという前提で書きます。得たかった情報は、
(1)事件中なんて変な呼び方するのはなぜ?又は、
(2)(呼び方や由来はさておき、)事件中だと何がまずいの?…ということのどちらかであると仮定します。
戦前は裁判所が登記業務をしており、登記業務に付随する用語が裁判所独特の言い回しを当然に引継いでいて、法務局が登記所となった現在でも独特の言い回しを使い続けています。裁判所では『仕事』を『事件』と呼んでおり、『仕事の数』は『事件数』として数えますし、登記の件数も『事件数』と呼ばれます。昔と違って登記申請から終了まで日数がかかるようになった今、記載が完了するまでの期間を『事件中』とか、『登記事件の処理中』とか、言うようになりました。(1)の答えは、
裁判所の管轄だった頃の名残りで、『事件』という単語を使っているから。
不動産取引の決済当日に司法書士の先生から、『法務局に事件中って言われました!』って電話があった場合は何がまずいのか?
決済当日のお電話はだいたい何かまずい予感がしますが…。銀行から融資を受ける場合、当該物件の担保状況その他の条件に嘘が無いならお金貸しますよという約束だったはずです。あと、売主さんが所有権登記名義人という前提で買主さんはお金払いましょうという約束もしていたことでしょう。司法書士の先生が居る時点で、ローンの審査は通っていて、住所変更等の問題はクリア(連件で登記申請予定で委任状も出されている)済みのはずです。そんな状況なのに当日になって何らかの登記申請ということは…余計な担保が増えているとか、『この人、もう物件売れなくなっちゃった?!』という恐れがあります。
『イチかバチかわからないけど後順位で登記申請してみましょうか♪』…なんて楽天的な発言をする業者は居ない訳で、その場に集まった売主さん買主さん不動産屋さん司法書士さん及び銀行の融資担当者の今までの努力が全部流れて水の泡になりそうな事態です(水の泡、が縁起悪いからと言って不動産屋さんは水曜日に休みたがります)。(2)の答えは、文字通り、
今回の取引全部中止という大事件の恐れだからまずい、ということになります。手数料収入ゼロ!の憂き目を見なくて済むよう、『流れそうな客を見抜く眼力』が営業マンに必要なんですって。