場違いな若者が入社してきました。高学歴だけど憧れていた業種は就職活動で全敗、よく考えたら不動産業界の素晴らしさ?に気付いたので御社を選びました、とのことでした。よく考えなくても、憧れていた業種や接客業は向かないと思いましたが、試験には受かるし、ノルマはこなすし、頼んだことはこなせる有能な人でした。でも全然お仕事楽しくなさそうに見えました。
『自分は大丈夫ですので。』一人暮らしで彼女も居ない、おそらく友達も居ない様子だからこそ飲みに誘っても必ずこう言われるそうで、上司から出席は義務だと念押しされた飲み会以外で食事を共にした社員は居ませんでした。社内に迷惑かけない代わりに、義務だと命令されない限りは他人を手伝うことは一切なし、みんなが残業していても定時で帰ろうとする人でした。
感情の起伏を見せない人でしたが、『こんな小さな会社で終わりたくない。』って思っているであろうことは予想できました。学歴と年齢と資格で大手に転職もできるでしょう。ただ、退職理由は予想外でした。『実家が病気で、ゴニョゴニョゴニョ…』
人間関係でパートが逃げる時に使う理由ナンバーワンをここで聞くことになるとは。やむを得ない理由につき、お引留めなしでした。
『あとで捨てて下さい。』って言われた箱の中に、未開封のお餞別が入っていました(オーマイガッ!)。『不動さんが使って下さい。』って渡された箱の中身は時々五円玉とまれに十円玉の混じった一円玉の山で、律儀に数えたら五百円弱でした(ど、どうも…)。それ以外の捨てずに持ち出した荷物の中身が…一部、見えてしまいました。難関試験の勉強をしていたようです。受かったら人生一発逆転も有り得る、と考えて、勉強時間を極力多く取りたかったのでしょう。
『何でも挑戦する人生にして下さいね。私は何もしないまま、気付いたらこんなオバチャンです。昨日までピッチピチギャルだったつもりが何この現実ww』自虐ギャグがスベるなら、諦めもつきます。私の自虐に…泣かれてしまいました。『こんなオバチャン』に同情したっぽいです。
軽く傷つきながら、全く振り返らずに去っていく若者を見つめていました。この手の理系男子との付き合い方、全然わかりません。初めて見せてもらう感情の起伏は、憐憫の涙ではなく呆れながらの笑みが望みだったんですけどね。難関試験には期待通り合格して欲しいものです。