不動産関係の
ややこしいデリケートな内容のお電話が多いということで、パートは基本的に受信しないようにと言われていました。ある月曜日。3コール鳴っても社員の事務員さんが出ないということが続きました。忙しい案件でもございまして?事務員さんの様子を見てみましょう。
険しい顔をしながら電卓叩いてますね。『私ちょっと暇になってきたんですけど…何かお手伝い出来ることございますか?』『不動さーん、助けてくれる?木曜からなのよ、私ダメ過ぎるわ。』上司がその仕事を頼んだのが木曜日の午後で、『明日でもいい』って言われたから金曜日の朝から取り掛かったそう。検算する度に必ず違う答えが出て正解がわからないまま、夕方になってコンパの約束もあるのでそのまま帰り…週明けまだ出来てないから怒られたのだとか?
仲介業がメインの不動産屋さんは自発的にお引越ししたいというお客様を対象にすることが多いのですが、そこはこちらの都合でお引越しを提案させて頂く業務がメインでした。物件は何十人かの共有となっていて、現在の所有者の持分を計算するようにというお仕事で、上司は権利関係の流れを全部記録した紙を持って来たのだそう。『確かにややこしい話ですね。』『私、これ一週間かけても解けないと思うんだけど、上司が今日計算できるまで帰るなって言うのよ。』丸一日かけて出来なかったら一週間どころか一生出来ない気がします。『やってみますね。』

土地持分のもともとの分母が6ケタでキリも良くないんですよね。上物(建物)の所有床面積から算出した数字だと思うのですが。ご夫婦共有の場合、50%50%じゃなくて収入の割合とかから算出したらしい数字を元に持分を決めておられて、分母がもっと細かくなってますし。途中で相続が発生してしまい、配偶者持分と子の持分が違っていてまた分母が細かくなってしまったという記録も。一時間ぐらいかけて三回検算したから正しいと思える持分表をお出ししました。
今回と同様の事態が発生すれば事務員二名の作業が一時間以上止まるということが予測されます。二回目は予め合コン禁止と上司に言われる恐れすらあります。本当にその日の私は暇だったので、一時間以内に一人で検算できるようなエクセルファイルを作ることにしました。素直に時間順に起こった出来事(売買、相続、持分の変更がなくても入力したくなるだろうから氏名や住所の変更なども)を入力していけば自動計算して最小公倍数で共有者の最終持分を出してくれる表です。手持ちのややこしそうなサンプルでは正確さを確認できました。
あっ、営業マンがお戻りだわ。『底地が共有でどうしようもない持分になってて履歴読むの疲れるーみたいな案件ございませんか?』『今は無いけど。』『そういうの自動計算してくれるエクセル作ってみたんですよ。』『じゃあ頂戴。』『私は正確だと信じてるんですけど、もっと色んなサンプルで試したいんです。一旦差し上げるので今度ややこしい持分の来たら実験して結果教えて下さいません?』『そいういう中途半端なのはいらない。完全なの完成したら頂戴ね。』ごもっとも!それでも飲み会あと一回ぐらいは手伝えるかな、と、事務員さんにだけ差し上げました。