体験したからこそ他人の痛みがわかる人間になれる…と、言えなくはないけれど。実際は、余裕のある人の方が他人に優しく接してくれるような気がします。久しぶりに会った友達を見ていて、そう感じました。自分の実家に近い土地を譲ってもらったので、その上にご主人名義のローン組んで納得の間取りで自宅を建築した友達…仲介業者の出番なし。都心で働くご主人の帰りを待ちながら一等地で暮らす友達…そういうエリアの不動産屋さんで働いたことないし。誰かの元マイホームに永住したがるお客様を探す…というお仕事は当然したことが無いそうです。
『前回集まった時も私ご馳走になっちゃったじゃない?』って一応辞退はしたのですが。かなり高級なランチをご馳走になってしまいました。『全然余裕が無い訳じゃないのよ。たまの贅沢ぐらい楽しめるようになったんだから。』って言っても、『いいのよ、今日はゆり子にご馳走したくてここまで来てもらったんだもん。』…と、支払わせてくれませんでした。『こうしてゆり子と喋ってると楽しいし。』って言われちゃったら、喋り通して腹筋痛くなるまで笑ってもらうしかない?
節電調理法だの節水給湯法だのに興味ないということは薄々感じていたので、『みんなの知らない方法を教えてあげる』っぽい話題は選びませんでした。私が楽しんでいるのを見たら喜んでくれるような友達だと思って、おそらく誰の役にも立たないだろうけど、ひたすら『不動ゆり子のマイブーム』を熱弁することにいたしました。『最近、服を見るのが楽しくて仕方ないのよ。』

/~\Fujisan.co.jpへ若い頃の私は服を買うのに頭を使うことがほとんどございませんでした。雑誌に書いてある通り、今トレンドとかいう組み合わせになるアイテムを買って回るとか。ショーウィンドゥのマネキンが身に付けてるトップスとボトムスをそっくりそのまま買うとか。『コレと、コレに合う組み合わせ何通りか出して下さい』ってお店のお姉さんに出しまくってもらったのを全部買うとか。
『同じアイテムには二度と出会えないという一期一会な空間も楽しいし♪そもそも誰かがいいなと思って買ったものって、いいと思われる何か魅力が有ったってことじゃない?』流行に乗らなくてはならない、という『お題』から解放されたら、予想もしていなかったアイテムとの出会いを活かして組み合わせを考える楽しみが出来ました。『自分が履けるサイズとか関係なしに、本物をこの手にとってただ一度見てみたいと思ってるジーンズが何種類か有るんだけど…。』
夢中で話していると、友達が同情的な目をしていることに気付くのが遅れました。『もう古着しか買えなくなっちゃったのね。』(事実かも知れませんが、何か?)『三年前のユニクロ製品が百円で買えるような古着屋さんも有るけど、十万円以上のブランド物を買い取って一万円で売ってくれるような古着屋さんもあるのよ。』(それらの中間ぐらいのお店でよく買いますが、何か?)

もうその話は結構と言われたので、私の探しているデニムが何年モデルか主張することも出来ませんでした。中古というだけでイヤという人が居ることは理解できるので、私のマイブームが理解されないのも仕方ないと納得しました。住宅にしても、実家の近くに広い土地が有って好きな間取りで家を建てられるとしたら、中古を探す気にならないと言われても仕方ないでしょう。
中古住宅の良さとは何か。立地、誰かが住まいとして選んだだけのことはある無難な間取り、そして、お得感?コレ、全部間に合ってますと言われる新築派のお客様を納得させるのは難しいかも知れません。ただ、新築を買える方はモデルルームとか行って丁重にもてなされていい気分になって買う気になるでしょうから、中古住宅専用の場末感漂う不動産屋さんには来店しないと思うんですよね。そもそも接点が無いからご説明する機会すらございません。
『誰とも付き合ったことが無い人じゃなくちゃ嫌だ!』って仰る方に、バツイチならではの良さとか説明したって聞いて頂けないでしょう。無理矢理聞かせたところで、頑なに拒否されることは目に見えています。何年後の人口は何人だとして…って皮算用してしまうと、一顧だにしない層が居ることを忘れてしまう恐れがあります。買って下さる方との出会いは一期一会かも知れないと考えて、出会いを大切にしたいと思います。あ、売買するのは服と不動産だけですよ!