不動産業界での就業経験は無いより有る方が役立ちますが、不動産屋さんごとに全然違うルールが尊重されるため、昔のことは忘れて現在の社風に合わせる努力が必要です。バタバタ忙しい不動産会社でパートしていた時は自分専用のロッカーはもちろん、座席もありませんでした。座っておくように言われた席が外出中の営業マン専用の物とは知らなくて、翌日出社したら全然知らない人が私の物であるはずの席に座っていて戸惑ったことがあります。
席が無いことに慣れるのは早かったです。ホワイトボードをチェックして帰社予定時刻の一番遅い営業マンのお席を黙って借りれば済みます。私専用の席を用意して頂いた時は嬉しかったものですが、席にパソコンと電話が無いのが不便だということがよくわかりました。
物件確認 をする時にはそれまで培ったノウハウ(不在営業マンを確認するだけ)を活かしてお席を借りていました。パソコンを使いたい時は、わかりにくいパスワードでロックかけている営業マンのお席は避けて借りていました。時間に余裕を持って予定時刻を書く方(意外に早く戻ってきて焦る)や、神経質な方(オバサンが温めた椅子に座りたくないらしい)のお席も避けるのがコツです。
そういう会社で働いたことがなければ気付かないと思いますが、会社側の命令で渋々他人の席に座っているという事情がわかっていても、普通は自分の席を我が物顔で使われると良い気分にならないものです。何社目かの座席無しパートを経験した時に、同僚パートさんが座るように言われていた席の営業マンが不意に戻られました。出先で疲れてそのまま帰社されたのでしょう。何と言うか…沸点が低くなっておいででした。『ここって私の…』怒りをあらわにしておられたのですが、背を向けて初仕事に集中していた同僚は状況がよくわかっていない様子。
『大変申し訳ございません!お席をお借りしておりました。すぐに片付けますので少々お待ち下さい!』本当は誰のだかわからない(暫定)私の席の上に同僚の使っていた書類を急いで移動させてから、『ご挨拶が遅れました!今日からお世話になります、パートの不動と○○です。』と、再び頭を下げました。きちんと謝ったから機嫌はよくなりましたが…なんか面倒ですよね?
離職率の高さを考えると効率的にも見えますが、試用期間(二週間で満了するパートと違って社員さんは三ヶ月ぐらいあるらしい)中の正社員には専用の席を用意しないという不動産会社で働いたことがあります。私が今更望んでも出来ない、『新卒で就職』を捧げてくれた若い人をもっと丁重にもてなせば良いものを…と、思っても、会社の方針に口出し出来ませんでした。
経験を活かしてお手伝い出来る業務の関係で二週間前に来たばかりの私の席が確定したことで、一ヶ月以上前から居る新入社員さんが時々座るように言われるフリーの席が一つ減りました。『ここは不動さん専用の席になったから今後は別の席に座ってもらいます。』って上司が言うことで怖い顔で睨まれてしまいましたが、若い人の気持ち、よくわかります。私が嫌われてまで指定席が欲しかったんじゃないことを…わかってもらえないでしょうね。パートが椅子取りゲームに勝っても得る物は少ないんですよ。非正規雇用を経験しないとわからないでしょうけど。