モテ子さん(仮称)は明るく優しい、誰からも好かれる女性ですが、ご主人以外の男性には興味ないそうです。そんな姿勢もステキだと思います。そう思っていたのは私だけじゃなかったのも当たり前の話ですが。元上司がモテ子さんをいたくお気に入りでした。
やり手の不動産営業マンだった頃と変わらぬ機動力で、自分で契約取ってきて新人クンに数字を付けてあげるとか、動き回るタイプの上司が多かったはずですが。その元上司は動かざること山のごとく、ある意味、「お不動さん」タイプでした(
風林火山 と一緒にしないで?)。
人事異動で元上司と部署が離れてから、モテ子さんの元気がなくなってきました。『何かお困りのことでも?』元上司が意味もなくモテ子さんのお席までやってきて無駄話をして行くことが多くなってきていることは私も存じておりました。更に、モテ子さんが不要と認めた物ではありますが、それを元上司が喜んで譲り受けて自席でニタニタ眺めているという噂も耳に入ってくるそうです。『私の名前が書いてある部分が見えるように置いてるんだって。』
『それで気が済むんだから、人畜無害でカワイイ男じゃないですか♪』『……。』『スミマセン、私、そういう経験がないもので…。わかりました。私に任せて下さい!』元上司は自分の席でお弁当を広げてますし、モテ子さんの所に来る時以外は席に居ます。トイレに行くに違いないけど、男性ってスグ戻ってきますものね。なんとか奪取する方法は無いものでしょうか。『あ♪』
モテ子さんの席から戻ってきた元上司が自分の席を確認した直後にモテ子さんの席の近くに居た私の所にやってきました。『不動さん!ダメだよ…って言うか、いつの間に?』『お体に隙があったか、心に隙があったかのどちらかでしょう♪』『でも、私はずっとアレを大切に持ってきたのに、いつの間に…って言うかダメだよ!!』『寂しくないようにって配慮したのに~ぃ♪』
『モテ子』って名前が書いてあった所に、私が加筆してきました。『モテ子、命!
寄せ書きby yuriko_fudo』命!まで書かれたら恥ずかしくて人前に出せないでしょう?人間、攻撃している時が一番防御力が低いものです。元上司がモテ子さんに付きまとっている間は、お席のお宝は無防備でした。元上司の攻撃開始と共に油性マジックを持ってお席まで走って奇襲をかけたのです。
モテ子さんの所以外にはどこにも行かない上司のあだ名が『お不動さん』だったのに対して、仕事キッチリしてきた私は一時期女性陣から『ゴルゴ』と呼ばれました。憧れの仕事人に一歩近付けましたよ。甘党ゴルゴが実際に受け取った成功報酬はジュース1杯ですが、何か?